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May 08, 2005
となり町戦争
自治体同士が事業の一環として始めた戦争。
ここでいう“戦争”とは、何かの喩えなどでなく、
人命という犠牲を伴う集団的な戦闘行為そのもの。
ごく平凡なサラリーマンである主人公は、
身近に起こっているはずのその事態に対し、
リアリティが感じられずに戸惑う。
誰かの血を目にすることもなく、銃声や怒号を耳にすることもないまま、
開戦前と同じように会社に出勤する彼。
非常事態が日常の中に埋没させれられてしまうのは、現実世界とて同じ。
海外から伝えられるテロや紛争のニュースを見聞きするたびに、
不快感や嫌悪感、あるいは漠然とした恐怖感は生じてくるものの、
危機感のような身に迫る感覚はどうしても生まれてこない。
911テロ事件もイラク戦争も、決して「遠い国のお話」以上のものではなかった。
人生の一部分を占める何かを力ずくで剥ぎ取られたりしない限り、
事態の及ぼす影響を自分の尺度で推し量ることなど誰もできない。
やがて彼は偵察要員となって、あくまでも間接的にその戦争に加担していく。
町役場の女性とふたり、新婚夫婦を装い敵対する町での暮らしを始めるが、
事業の形を取った戦争では、どこまでも計画的にすべてが運ばれ、
ある日突然に街角で火の手が上がるようなことがない。
メディアによって自らに植えつけられた、イメージとしての戦争。
主人公は、終戦までそのイメージを超えるリアルに触れることができなかった。
ただし戦争は、たとえ非戦闘要員ではあっても、当事者を無傷で日常に帰すことはしなかった。
彼、そして読者にとっては、最後に感じた喪失感の大きさだけが、その戦争が垣間見せた真実なのだろう。
May 8, 2005 09:05 PM
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Comments
『となり町戦争』シュールなかんじ?で、読みたくなったぞ。
戦後60年目の今年。
いつまでも‘戦後’であってほしいと、願うばかりです。
とりあえず、頼むよ。将軍さま。
posted by あずきちゃん : May 9, 2005 02:36 PM
結構な余韻がある作品で、読み切った後も長いこと響いてました。
興味があれば、ぜひどうぞ。
ページ数も大したことないので、ペロッと読めるハズです。
どこぞの将軍サマについては、
「お願いだからおとなしくしててネ♡」ってところですかね。
posted by 580 : May 9, 2005 05:25 PM