October 15, 2006

レディ・イン・ザ・ウォーター

10.14.jpg近年、M・ナイト・シャマラン作品の物語は、
限られた空間を舞台として展開されている。
この『レディ・イン・ザ・ウォーター』もまた、
全編がひとつのアパートの中で描かれている。
国籍も違えば生活習慣も異なる住人たち。
そこはさしずめ、プールという海を持った、世界の縮図。

「家族を失って僕は迷子になった」
クリーブランドの言葉を借りれば、世の中には“迷子”が溢れているということなのかも知れない。
人間誰しも、世界は良い方向に向かっていると信じたい。
けれども、だからといってそのために自分にできることなんてない、なんていう諦観がいつの間にか心の中で肥大化して、
人生の目的や役割も見出せないままに、ただ毎日を過ごしている。

純朴過ぎるように映ったコーブ・アパートの住人たちだけれど、
彼らにとっては今や、おとぎ話を現実にすることこそが、子どもの頃に信じた幸福を実現すること。
だからこそ、“青の世界”から現れたストーリーとの関わりの中で、それぞれの帰るべき家を見つけ出そうともがいた。
そんな彼らを包み込んだ熱気を感じ取れるか否かで、観客一人ひとりの感情移入度も大きく左右されると思う。
もしも感じ取ることができれば、臨場感に呑まれながら、妙に力の入った姿勢でスクリーンに釘付けにされているはず。

静寂に包まれた短いラストシーンは、多くを語らずとも安堵や寂しさや愛しさといった感情を複雑に孕んでいて、
絵画的で強く印象に残った。
そして、エンドロールではひたすら余韻に浸らせてもらった。
あ~、ハンカチ持ってってよかった……。

そうそう。『ヴィレッジ』以上に心臓に悪い一瞬が用意されていて、それにはかなりビビッった。

ブライス・ダラス・ハワード、今回もハマリ役でイイ感じ。
公開前からさほど話題にもなっていないけれども、世間で思われているよりもいい映画なんじゃないかな。
音楽も素敵だったし、少なくともぼくは、シャマラン作品の中では一番好きだな。

October 15, 2006 12:50 AM

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