June 26, 2007

機動旅団八福神

6.26_1.jpg「機動旅団」ときて「八福神」と繋げるこのセンス、
タイトルからして異質な空気を漂わせているマンガ。
超兵器「福神」のユーモラスなルックスといい、
クセのあるキャラクターといい、独特のシュール感に
「作者はどこまで真面目に描いてるんだ?」と戸惑うも、
物語が本格的に動き出した頃には引き込まれていた。

この世界の中の日本は、戦わずして中国によって占領され、
目下アメリカとの戦争を繰り広げている最中。
レーザーや反重力といった技術が軍事的に実用化されていることから、
時代設定としては数十年先の近未来ということになるだろうか。

シンボリックなキャラクター性を獲得しつつも見れば見るほど不恰好な福神の存在は、
SF戦争モノというジャンルに(特に商売上において)求められる“カッコイイ感じ”が
ひとり歩きして人気取りすることのないよう、ブレーキとしての機能を果たしている。
「絶対防御」を誇る超兵器も、その搭乗者が新兵ばかりとなれば、戦いぶりも泥臭い。
戦争とは決して気持ちのいいものでもなければ、
ましてや絵になるものなどではない、ということか。

主人公たち福神隊は「人を助ける部隊」を、対するアメリカは「人の死なない戦争」を、
それぞれ標榜している。
一見似ているように映る両者も、
実際には明らかに異なるスタンスを示しているのが興味深い。
アメリカは、前線にヒトを送り込まずに戦うという理想を形にした結果、
凶悪犯罪者から人格を取り除いてロボット兵器「リカオン」のコアとして利用している。
たとえ犠牲者が出ても、誰の心も痛まないようにすればよいという論理。
SF小説の中では古典的な題材なのかも知れないが、
殺さずの戦いを旨とする若輩揃いの福神隊が、
そうした敵と今後どう相見えるのか気になるところ。
まったく先が読めない展開だけに、これからが楽しみ。

ちなみに、個人的に気に入っているキャラクターは、夏目と中道。
あと名取については、「お前は俺か!」ってくらいにぼくに似ている気がする(笑)。

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単行本の装丁デザインがなかなかカッコよくて◎。

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 June 26, 2006

鉄のラインバレル

6.26.jpgAMAZONのおすすめでその存在を知ってから、
ちょっと気になってた『鉄のラインバレル』。
ホントに面白いの?と思って調べてみると、
あちらこちらで「アツい!」「燃える!」と
まずまずの評判を呼んでいる様子。
「ならば!」と1~3巻までをさっそく購入。

内容的には、「ロボット物・ヒーロー物」と呼ばれるマンガやアニメやゲームの、イイトコ取りミクスチャー。
率直に言って、ストーリーにしろ設定にしろ、オリジナリティはかなり希薄。
特に影響を受けていると思われるのが、皆川亮二の『ARMS』。
学園風景、マキナとファクター(この物語に登場するロボットとパイロットの総称)の関係性、
小道具としてのナノマシンの存在、組織の対立構造、そして自我のコントロールに苦しむ主人公と、
いたるところにその面影が……。
しかしこの『ラインバレル』、むしろ送り手である作者自分が過去の名作群のファンとしての姿勢を自覚的に保ちながら、
<何をカッコイイと思って育ってきたか>というフリークぶりを正直に紙幅に落とし込むことで、
その粋を集める試みを通してロボット物・ヒーロー物の復権を目論んでいるのかも知れない。
巷間での評判通り確かにアツさに満ちていて、その熱を帯びた描写を見るにつけ「カッコイイ」と思わされるあたり、
サンプリング&リミックスのセンスに長けているというか、単なる模倣で終わっていないことの証明なんだろうなぁ、と。

気になったのは、話の展開のテンポがいい分、いささかご都合主義になっているところ。
それが顕著なのは第3巻後半。
急転直下とも言うべき流れに沿って、いきなり宇宙空間が戦いの舞台になるわけだけれども、
謎多きロボットとして描かれているラインバレルを、
空間戦闘に対応可能か否かの検証もなしに打ち上げ即実戦と運用させるあたり、
「超本格リアルロボット・バトルアクション」と謳っているのとは裏腹に、乱暴というか無茶というか……。

それと、どう見ても女性としか写らないキャラを平然と男性キャラとして扱っているのは、個人的にどうかと思ったり。
主人公をはじめとした各キャラの年齢設定も、多分に腑に落ちないなぁ。

まぁ、いろんなアレやコレやを孕みつつも、今後に期待が持てるのは確か。
これからどう深みを出して、どう広がりを持たせていくか、注目していきたいと思う。

最後に、ひとつ気付いた点を。
ラインバレルのコックピットにあるパネルには"LINE BARREL."と表示していながら、
メインタイトルの英語表記が"LINEBARRELS OF IRON"と複数形になっているのは、やっぱり伏線?

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